夏も近いのでホラーチックな一枚を選んでみました。
この人形は海水浴場の暴風雨林の中にある小さなお地蔵さんの横にぽつんと置いてありました。
つまり何の脚色も無しにこの状態だったわけです。

見つけたときは数瞬固まってしまいましたね。
そして何故、ここに居るのか、誰がここに置いたのか。考えてしまいます。
人形は広い年齢に愛されるおもちゃなので、子供が置いていったとも限りません。長年愛用した大人が供養半分でお地蔵さんの元に託したのかもしれない。

たんに海に遊びに来た人が落とし物の人形をなんの意味もなしに置いていったのかもしれません。

色んな理由を考えながら、場違いで見るも悲しい姿のこの人形に強く惹かれたので撮影をしたわけです。

撮影しながら思っていたのは
「なんて見事な状態だろう」
と言うことです。日が傾いた夏の、薄暗い林の中に、小さなお地蔵さんと共にいる汚れた人形。
恐怖を覚えるのに十分な状態でした。そして恐怖に惹かれたのです。

昔から写真は恐怖を伝えてきました。戦争や暴動、飢餓なんかが有名です。
人は恐怖について知りたい生き物なんだと思います。
しかし、現在の写真作品の中に恐怖や不安を主題にした作品はものすごく少ないように思います。
特に意味はないけど美しい写真。これが世間に溢れています。そして痴呆のように
「あ~きれいだね~」
と消費していく。
そんな状態では私達の精神が成長していくはずがない。
私は作品を通じて誰かを傷つけて、その傷が治る時に生まれるものに期待したい。

今回もよく解らないことを書いてしまったけど、なんとなく伝わるんじゃないかなと思っています。

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